ECデータ分析で売上をさらに伸ばすには
前回の記事では、ECを始める前に考えるべき順序についてお伝えしました。今回はその続編として、「すでにある程度売れているけれど、もっと伸ばしたい」という方向けに、購買データの分析について紹介します。
EC領域は広告代理店も多く参入している分野ですが、中小企業診断士としては「単にCPA(顧客獲得単価)を下げる」だけでなく、どうすれば事業全体がもっと効率的に回るかを考えることが重要だと考えています。
分析といっても手法はさまざまですが、代表的なものは以下です。
- ABC分析
- RFM分析
- クラスター分析
- バスケット分析
ただし、企業の特性やデータの種類、ビジネスの目的によって使うべき分析は変わります。今回はその中でも基礎かつ効果の高い「ABC分析」と「RFM分析」について解説します。
ABC分析とは
ABC分析とは、売上や利益への貢献度に応じて商品をランク分けする方法です。例えば「Aランク:上位20%の商品で売上の80%を稼いでいる」といったパレートの法則をもとに整理します。
どんな場面で使う?
- 主力商品を特定して強化したいとき
- 不採算商品の棚卸しをしたいとき
- 在庫や仕入れの最適化を考えるとき
どのように役立つ?
売上の大半を生み出している商品に経営資源を集中させることで、効率の良い経営が可能になります。逆に、売れていない商品を明確化して整理する基準にもなります。
具体例
ある食品ECでは、全商品のうち上位15%の商品が売上の75%を占めていました。その結果、広告費はAランク商品に集中投下し、B・Cランク商品の扱いを見直すことで利益率が向上しました。
RFM分析とは
RFM分析とは、顧客を以下の3つの指標で分類する方法です。
- R(Recency):直近の購買日
- F(Frequency):購買頻度
- M(Monetary):購買金額
どんな場面で使う?
- リピーター戦略を考えたいとき
- 休眠顧客を掘り起こしたいとき
- 顧客ごとに異なるアプローチを検討したいとき
どのように役立つ?
顧客をセグメント化することで、「優良顧客にもっと買ってもらう」「離脱しそうな顧客をつなぎ止める」といった戦略が立てやすくなります。
具体例
あるアパレルECでは、RFM分析をもとに「最近は買っていないが、以前はよく買っていた顧客」に限定して割引クーポンを配布しました。その結果、休眠顧客の20%が再購入につながりました。
まとめ:分析は目的と実行が大事
ABC分析やRFM分析は便利ですが、単に数字を眺めるだけでは意味がありません。重要なのは、分析から得られた示唆をどう経営判断につなげるかです。
当社では、データをどう活かせば利益につながるのか、その実行支援まで含めてサポートしています。ECのデータ分析や改善に興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。