創業者にとって最も大きな不安は「本当に売れるのか?」です。良い商品やサービスを作っても、届かなければ意味がありません。さらに重要なのは 「そもそも、何を売るのか」 を明確にすることです。ここが曖昧なままターゲット設定や販促に進むと、効果が薄くなりがちです。
本記事では、まず「何を売るのか」を固める方法を示し、次に「誰に売るか(ターゲット設定とポジショニング)」「オンライン/オフラインの販売チャネル比較」「創業初期にやるべき最低限の販促」を、物販と人的サービス業の具体例を交えて解説します。
まずは「何を売るのか」を決める
創業相談で最も多い課題は、「なんとなくやりたいことはあるが、売るものが固まっていない」という状態です。ここを曖昧にしたまま販促や店舗準備を進めると、方向性がぶれて売上につながりません。
核を絞る理由
- 幅を広げすぎるとメッセージがぼやけ、顧客に刺さらない。
- 創業初期はリソースが限られるため、優先順位を明確にする必要がある。
- 「一行で説明できる」商品・サービスは伝わりやすく、初動が早い。
物販の「何を売るか」具体例
- デザインで差別化する:都会的でミニマルなハンドメイド雑貨
- 機能で勝負する:軽量で持ち運びしやすいアウトドア用品
- 用途特化:ギフト需要に特化したパッケージ商品
人的サービス業の「何を売るか」具体例
- 悩みを特定する:転職迷いの20–30代に特化したキャリア相談
- 時間軸で差別化:仕事帰りに寄れる30分クイックマッサージ
- 対象絞り:子ども連れOKのパーソナルトレーニング
ポイント:創業初期は「一点突破」が有効です。狙う価値(何を解決するのか)を1つに絞り、それを中心にサービスや商品、価格を設計しましょう。
ターゲット設定とポジショニング(「誰に売るか」)
「何を売るか」が明確になれば、次は「誰に売るか」を決めます。ターゲットは単なる年齢・性別の属性でなく、「価値観・ライフスタイル・購買動機」を含めて定義することが重要です。
ターゲットを掘るための質問例
- 誰がこの商品・サービスを最も必要としているか?
- 彼らは普段どこで情報を得ているか(SNS・口コミ・検索など)?
- 購入の決め手は価格か、品質か、利便性か、信頼性か?
ポジショニングの決め方(シンプル3点)
- 誰に:ターゲットを具体的に言語化する
- 何を:そのターゲットにとっての価値(ベネフィット)を定義する
- どのように:提供方法・伝え方・チャネルを設計する
創業初期は「市場の中心」より「隙間(ニッチ)」を狙うほうが成功確率が高まります。差別化は必ずしも大きな独自性である必要はなく、「特定の層にとって最適である」ことが重要です。
オンライン・オフラインの販売チャネル比較
チャネル選定は「何を・誰に売るか」と密接に関連します。物販とサービス業での特徴と、創業初期に取りやすい実践パターンを紹介します。
物販の場合
- オンライン(EC):初期費用が比較的低く、全国展開可能。ただし写真・説明の質で差が出やすく、競争が激しい。
- オフライン(実店舗・委託販売・イベント):顧客の反応を直接得られ、単価を上げやすいが固定費や立地リスクあり。
創業初期の推奨アプローチ:まずは委託販売やマルシェ、ポップアップで仮説検証 → 反応良ければEC展開でスケール。
人的サービス業の場合
- オンライン(Zoom・SNS集客):距離制約がないため顧客層を広げやすいが、信頼構築が課題。
- オフライン(来店・訪問):信頼とリピートに強く、地域密着では効果大。ただし商圏が限定される。
創業初期の推奨アプローチ:来店や無料体験で信頼を獲得 → 口コミを基にオンラインで拡張、または定期契約化を図る。
創業初期にやるべき最低限の販促
創業初期は大きな広告投資より「早く顧客と会って検証すること」が最優先です。以下は最低限やるべき実務リストです。
① 名刺代わりのWebページ(ランディングページ)を作る
- 1ページで構わない:商品/サービス・料金・問い合わせ方法を明確に。
- 写真・見出しを整えるだけで信頼感が大きく上がる。
② SNSアカウントを1つに絞って運用する
- XまたはInstagramなど、ターゲットが使うプラットフォームを選ぶ。
- 発信テーマを決め、頻度を守る(例:週3回の投稿など)。
③ 口コミを素早く作る(人的サービスは特に重要)
- 初回割引、モニター募集、アンケートで感想を集める。
- 実名のレビューや写真があると安心感が増す。
④ 身近な層へ直接アプローチする
- 知人・元同僚・コミュニティへ直接声をかける。
- 小規模イベントや地域交流で名刺交換を重ねる。
⑤ オフラインでの“場”に出る
- マルシェ、商工会の交流会、勉強会、地域イベントに出展。
- 対面での反応は商品改善や価格設定に直結する。
物販とサービス業で使える短期の実験アイデア
- 物販:期間限定セット販売で客単価と反応を検証。
- サービス:体験会を開催して顧客の反応を定量・定性で回収。
- 共通:初月に小さく試して、3ヶ月で判断するタイムボックスを設定。
まとめ:まずは「何を売るか」を固め、近くから素早く検証する
創業初期の最短ルートは、「何を売るか」を明確にし、最も近いターゲットに速やかに届け、反応を学ぶことです。完璧を目指すよりも、早く顧客と接し、得た知見を元に改善を繰り返しましょう。
当社は、創業者の「何を売るか」から一緒に整理し、販路選定や初期の販促計画まで伴走支援しています。アイデアを具体的な売上に変えたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
